内装仕上げ施工技能士とは|1級・2級・3級の違いと合格率、試験日・過去問・勉強法

内装仕上げ施工技能士は、床・壁・天井などの内装工事の腕前を国が認める技能検定の資格です。1級・2級・3級があり、受検するときは「プラスチック系床」「ボード仕上げ」など自分の作業を1つ選びます。令和6年度の内装仕上げ施工の技能検定は、受検申請5,295人に対して合格3,295人で、合格率はおよそ62%でした。

この記事では、級ごとの違いと受検資格、試験の中身、合格率の読み方、日程と申込、過去問の手に入れ方までを、厚生労働省とJAVADAの公式資料をもとにまとめています。あわせて、公開されている令和5〜7年度の学科試験問題を当サイトで作業別に見比べた結果も載せています。運営者はインテリア商社で床材・壁装材を扱う営業です。

※令和8年度(2026年10月時点)の情報です。毎年3月ごろにJAVADAの受検案内が公表されたら、日程や実施する作業を更新します。

目次

内装仕上げ施工技能士とは

技能検定は、働く人の技能を国が決めた基準で試験する制度で、内装仕上げ施工はその職種の一つです。試験は都道府県職業能力開発協会が行い、問題は中央職業能力開発協会(JAVADA)がつくります。

学科試験と実技試験の両方に受かると「技能士」を名乗れます。技能士は合格者しか名乗れない名称で、名刺や会社案内に「1級内装仕上げ施工技能士」と書けるのは合格者だけです。

作業は7つ。令和8年度に試験があったのは4作業

内装仕上げ施工は、扱う材料と工事の種類で7つの作業に分かれています。受検するときに1つを選び、実技も学科の一部も、その作業の内容で出題されます。

作業主な仕事3級令和8年度の実施
プラスチック系床仕上げ工事作業ビニル床シート・床タイル、クッションフロアの張付けあり実施
カーペット系床仕上げ工事作業カーペット・タイルカーペットの敷込みありなし
木質系床仕上げ工事作業フローリングの張付けなしなし
鋼製下地工事作業軽量鉄骨(LGS)の壁・天井下地あり実施
ボード仕上げ工事作業せっこうボードなどの張付けあり実施
カーテン工事作業カーテンの取付けなどありなし
化粧フィルム工事作業化粧フィルム・窓ガラスフィルムの施工なし実施
3級の有無は厚生労働省の試験基準、令和8年度の実施はJAVADAの令和8年度受検案内による。実施する作業は年度によって変わり、都道府県によっては実施しない年もあります。

よく混同されるのが壁紙(クロス)です。クロス貼りの職人さんが受けるのは、内装仕上げ施工ではなく「表装技能士(壁装作業)」です。「内装仕上げ施工技能士 クロス」と検索する人がいるほど、取り違えやすいところです。クロスが本業なら、表装の練習問題も見てみてください。

1級・2級・3級の違いと受検資格

級は難しさの違いで、3級が初級、2級が中級、1級が上級です。受けるために必要な実務経験の年数は、令和8年度の受検案内で次のとおり決められています。

級実務経験だけで受ける場合下の級に合格している場合
1級7年2級合格後2年/3級合格後4年
2級2年3級合格者は0年
3級0年(関連する実務経験がある人)―
工業高校や職業訓練などの学歴・訓練歴があると年数が短くなります。細かい条件は受検する都道府県の職業能力開発協会で確認してください。

実務年数の条件から、経験の浅いうちは3級か2級、実務7年を超えたら1級、という順番で受けることになります。3級は実務経験の年数が問われないので、入社1年目の目標にもしやすい級です。

試験の内容(学科と実技)

試験は学科と実技の2つです。合格の基準は、100点満点で学科65点以上、実技60点以上です。

項目1級・2級3級
学科の問題数○×(真偽法)25問+4択(多肢択一)25問=50問○×(真偽法)30問
学科の試験時間1時間40分1時間
合格基準学科65点以上、実技60点以上
実技作業ごとに決められた課題を、時間内に施工する
JAVADA 令和8年度受検案内による。学科試験の会場では電卓やスマートフォンは使えません。

学科は「共通科目」と「作業別の施工法」の組み合わせ

厚生労働省の試験基準では、1級・2級の学科は、内装仕上げ一般・建築構造・建築製図・関係法規・安全衛生の5科目がどの作業でも共通で、そこに選んだ作業の施工法が1科目加わります。施工法には材料・器工具・工法などが入り、床の作業では色彩や図柄も出ます。

技能検定試験問題公開サイトで公開されている1級の学科試験問題を、当サイトで年度ごと・作業ごとに見比べました。令和7年度の冊子では、○×(A群)も4択(B群)も、1〜11問が「内装仕上げ一般→建築構造→建築製図→関係法規→安全衛生」の共通科目、12〜25問が施工法という並びでした。

内装仕上げ施工技能検定1級の学科50問の並び。A群(○×)とB群(4択)はそれぞれ1〜11問が共通科目、12〜25問が施工法。令和5〜7年度の1級では共通科目の問題がどの作業でも同じだった

さらに令和5・6・7年度のどの年も、1級の共通科目の問題は、プラスチック系床・鋼製下地・ボード・化粧フィルムなど作業が違っても同じ問題でした。50問のうち22問前後は、どの作業を選んでも同じ問題ということです。作業を変えて受け直す人は、共通科目の勉強をそのまま使えます。

合格率はおよそ62%。難易度の見方

厚生労働省が公表している「技能検定の実施状況」によると、内装仕上げ施工の受検申請者数と合格者数は次のとおりです。

年度受検申請者数
令和元年度5,087人
令和2年度3,109人
令和3年度4,906人
令和4年度4,449人
令和5年度4,624人
令和6年度5,295人(合格者3,295人)
出典:厚生労働省「令和6年度『技能検定』の実施状況」。令和6年度の合格率は3,295÷5,295でおよそ62%。

この62%は、1級から3級まで、7つの作業すべてを合わせた数字です。分母は受検を申し込んだ人数なので、当日欠席した人も入っています。この資料には級ごとの数字は載っていないため、「1級だけの合格率」はこの資料からは出せません。ネット上で見かける級別の数字は、出典を確かめてから参考にしてください。

学科の合格ラインは65点です。50問のうち22問前後を占める共通科目は、居室の天井の高さ2.1m以上、脚立の角度75度以下のように、数値と用語で答える問題が中心です。実技は作業ごとの課題を時間内に仕上げる試験なので、学科とは別に施工の練習が必要です。

試験日・申込・手数料(令和8年度)

項目令和8年度(前期)
申込期間4月6日〜4月17日(都道府県によっては前倒し)
申込先受検する都道府県の職業能力開発協会
実技試験6月10日以降の指定日(都道府県ごとに異なる)
学科試験3級は7月12日。1級・2級は8月23日・8月30日・9月6日のうち、職種・級ごとの全国統一日
合格発表3級は8月28日。1級・2級は10月2日〜11月26日の間で都道府県知事が指定する日
受検手数料の目安学科3,100円、実技18,200円(都道府県によって異なる)
内装仕上げ施工は前期のみの実施です。日程は年度ごとに変わるため、申込前に受検する都道府県の案内で確認してください。

学科と実技のどちらか片方だけ合格した場合は、次回以降、不合格だった試験だけを受ければ技能士になれます。仕事が忙しい年は片方だけ受かっておく、という進め方もできます。

過去問の手に入れ方と勉強の進め方

過去の学科試験問題は、JAVADAの技能検定試験問題公開サイトで、直近の年度の問題と正解表がPDFで公開されています。自分の作業・級の冊子を選べば、本番と同じ50問を同じ順番で解けます。

公開サイトには解説が付いていないため、解説つきでまとめて勉強したい人は市販の問題集を使います。中央職業能力開発協会が編集した過去問の問題集や、学科試験の解説集が出ています。

  1. 受検する作業・級の過去問を1年分、時間を計って解き、自分の弱い科目を知る
  2. 問題集の解説で、弱い科目の数値と用語を覚え直す
  3. 休憩や移動のスキマ時間に、練習問題を10問ずつ解いて確認する
  4. 試験の前に、残りの年度の過去問を本番と同じ形式で解く

当サイトの練習問題は、この3のスキマ時間に使うことを想定してつくっています。1回10問で、全範囲からでも、苦手な分野だけでも出題できます。過去問ではなく、公式の出題範囲をもとにしたオリジナル問題です。

内装仕上げ施工技能士を取るメリット

  • 「技能士」と名乗れる。合格者だけが使える名称で、腕前を客観的に示せる
  • 建設業法の専任の者・主任技術者の資格として使える(等級や実務経験の条件あり)
  • 公共建築工事標準仕様書で、特記仕様書に指定された作業では1級技能士が現場で作業し、ほかの技能者を指導するとされている

建設業許可の技術者や、特記仕様書で指定された公共工事のように、資格を持っていること自体が条件になる場面があります。

作業別の練習問題(学科対策)

作業・級ごとに、本番と同じ範囲(共通科目+施工法)から出題する練習問題を用意しています。

作業2級1級
プラスチック系床仕上げ2級の練習問題1級の練習問題
木質系床仕上げ2級の練習問題1級の練習問題
鋼製下地2級の練習問題1級の練習問題
ボード仕上げ2級の練習問題1級の練習問題
化粧フィルム2級の練習問題1級の練習問題
表装(壁装作業)※クロス2級の練習問題1級の練習問題
カーペット系床・カーテン・3級の練習問題は、まだ用意していません。

よくある質問

学科だけ合格したら、次の年はどうなりますか

次回以降は、不合格だった実技だけを受ければ技能士になれます。実技だけ合格した場合も同じで、学科だけを受け直します。

3級はどんな人向けですか

現場に入ったばかりの人向けの初級です。関連する実務経験があれば年数を問わず受けられ、学科は○×30問です。3級に受かると2級の受検に必要な実務年数がなくなるので、2級への近道にもなります。

クロス職人は内装仕上げ施工技能士を受けるべきですか

壁紙(クロス)の施工を証明したいなら、表装技能士(壁装作業)が合っています。内装仕上げ施工の作業にはクロス貼りが含まれていないためです。床やボードの工事も手がける人は、その作業で内装仕上げ施工を受ける選択肢もあります。

関連ツール

出典・参考

  • 厚生労働省「内装仕上げ施工技能検定試験の試験科目及びその範囲並びにその細目」(令和2年2月):公式PDF
  • 厚生労働省「令和6年度『技能検定』の実施状況」:公式PDF
  • 中央職業能力開発協会「令和8年度 技能検定 受検案内」:公式PDF
  • 中央職業能力開発協会「技能検定試験問題公開サイト」:公式サイト
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この記事を書いた人

インテリア商社・マネージャー。現場に関わり続け、実務目線でツールの仕様監修を担当。「現場で本当に使えるか」を判断基準にしています。

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