床材用接着剤の選び方早見表|床材・下地別に正しい接着剤を選ぶ

床材用接着剤の選び方早見表
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床材を貼るとき、一番事故が多いのが接着剤の選定ミスです。床材と下地に合わない接着剤を使うと、剥がれ・突き上げ・変色という形で必ず後から表面化します。この記事は、床材別・下地別に「どの接着剤を使えばいいか」を一覧でまとめた早見表です。各項目から、それぞれの詳しい施工記事に進めます。床材施工要領書シリーズのまとめとして使ってください。

この記事はメーカー公式の床材施工要領書をベースに、シリーズ全体を現場目線で整理したものです。「床の接着剤の選び方」「床材ごとの接着剤の種類」を一度に把握したい方向けの内容です。

床材用接着剤の4系統の図。ラテックス形(NP-2000/NP-5000)はCFやタイルなど一般工法、ピールアップ形(TC-1)はタイルカーペット、ウレタン系(UF-ライト)は耐湿やフローリングやゴムや金属、溶剤形・粘着型(速乾マイルド/TR系)はコルクや巾木や重ね張りに使う
図1:床材用接着剤の4系統と代表的な用途
目次

【床材別】どの接着剤を使うか早見表

まずは床材から接着剤を引く表です。各床材名のリンクから、詳しい貼り方の記事に進めます。

床材 主な接着剤 詳しい記事
クッションフロア(住宅) プラゾールNP-2000系(ゴム系ラテックス形)
重歩行用CF(店舗・土足) 裏打ちでNP-2000系/NP-5000系
長尺シート(ビニル床シート) プラゾールNP-5000系
防滑シート(浴室・水まわり) プラゾールUF-ライト(耐湿)
Pタイル(コンポジション) プラゾールNP-2000系
フロアタイル(複層) プラゾールNP-5000系
タイルカーペット ピールアップ糊(プラゾールTC-1)
ニードルパンチカーペット プラゾールNP-2000系
フローリング(直貼り) プラゾールUF-ライト(ウレタン系)
リノリウム プラゾールUF-ライト(ウレタン系)
コルク系床材 裏面で速乾マイルド/UF-ライト
ゴム系床材 プラゾールUF-ライト(ウレタン系)
人工芝(屋外) プラゾールUF-ライト(耐湿)
ソフト巾木 水性巾木糊スーパー/TR-巾木用

クッションフロア(住宅)

住宅で最も出番の多い塩ビシートです。薄いぶん下地の粗がそのまま表に出るのが特徴で、小さな砂粒やモルタルの塊が残っているだけで仕上がりにポツポツと跡が浮きます。突起はスクレイパーで削り、かすを掃き取ります。手でこすって粉が付く、表面がもろい下地にそのまま貼ると、接着剤ごと下地表面が剥がれてCFが浮くので、弱い面は床用シーラー「フロアシーアップ」で固めてから進みます。接着剤はゴム系ラテックス形の「プラゾールNP-2000」系。冬場は糊の食いつきが落ちます。圧着しても密着が甘くなるので、ジェットヒーターなどで室温を10℃以上に上げてから施工すると安定がまるで違います。寒い日ほど採暖をケチらないのがコツです。

クッションフロア施工の3工程イメージ。くし目ゴテで接着剤を塗りオープンタイムをとる、ローラーで圧着する、継ぎ目にシームシーラーを注入して一体化させる流れの図解
図1:接着剤塗布(オープンタイム)→ローラー圧着→継ぎ目処理の流れ

重歩行用CF(店舗・土足)

住宅用CFより厚く、土足や台車の通行に耐える床材です。裏打ちの構成によって適合する接着剤が変わり、NP-2000系とNP-5000系を裏打ちで使い分けます。住宅用と同じ感覚で選ぶと荷重に負けます。下地づくりは住宅用CFと同じで、弱い面はフロアシーアップ、突起はスクレイパー、亀裂や凹みは「アースシール速硬」、全体の不陸は「アースコート60」でならして完全硬化させます。違うのは想定される荷重と摩耗で、店舗は台車の車輪が同じ動線を何度も通るため、接着不良の箇所から先に浮いてめくれます。全面をむらなく圧着することが住宅以上に効いてきます。

重歩行用クッションフロアの接着剤の使い分け図。不織布が裏打ちされたタイプはプラゾールNP-2000系、ビニル裏など不織布以外の裏打ちはプラゾールNP-5000系を使い、最後に継ぎ目処理をする
図1:重歩行用CFは裏打ち材で接着剤を使い分ける

長尺シート(ビニル床シート)

病院・学校・店舗の廊下などで使う大判のロール材です。接着剤はアクリル樹脂系エマルション形の「プラゾールNP-5000」(または「プラゾールAC-9」)。下地に塗り、所定のオープンタイムをとってから張り付け、圧着可能時間内にローラーで馴染ませます。長尺の要は継ぎ目処理で、熱溶接工法では溝を切って溶接棒を溶かし込み、継ぎ目を一体化させます。溶接は接着剤が硬化してから行うのが原則です。硬化前に熱を入れると、下の接着剤が動いて継ぎ目が浮きます。下地は平滑で乾いていることが前提。モルタルやコンクリートの突起は削り、不陸はアースコート60でならしてから貼ります。

長尺シートの継ぎ目を熱溶接する流れの図。継ぎ目に沿って溝を切り、溶接棒を熱で溶かし込み、固まったら余分を削って平らにする3段階
図1:長尺シートの継ぎ目を熱溶接でつなぐ流れ(溝切り→溶接棒を溶かし込む→余分を削る)

防滑シート(浴室・水まわり)

浴室やバルコニーは常に水がかかり、下地のコンクリートからも湿気が上がってきます。ここに一般的な水性系接着剤を使うと水分で接着が切れてシートが浮き、めくれた端でつまずくことになります。そこで水に強いウレタン系「プラゾールUF-ライト」を使う耐湿工法を選びます。考え方は屋外の人工芝と同じです。下地は平滑に。水まわりはわずかな凹みに水がたまると劣化が早いので、亀裂や凹みは確実に埋めます。そして継ぎ目処理が特に重要で、処理を怠るとそこから水が下地に入り、シート全体の剥がれや下地の劣化を招きます。継ぎ目を一体化させて水を入れない床に仕上げます。具体的な方法はシート製品ごとに指定があるのでメーカー仕様に合わせます。

防滑性ビニル床シートの耐湿工法の図。浴室やバルコニーなど水がかりする場所では、水に強いウレタン系プラゾールUF-ライトで貼り、継ぎ目を処理して水の侵入を防ぐ
図1:水まわりの防滑シートは耐湿工法(ウレタン系)+継ぎ目処理で水を入れない

Pタイル(コンポジション)

コンポジションビニル床タイルのことで、フロアタイル(複層)と混同されがちですが中身も接着剤も違います。充填材の比率が高く硬いのが特徴で、接着剤はアクリル樹脂系エマルション形の「プラゾールNP-2000」(または「プラゾールNP-2300」「プラゾールF-9」)を使います。硬いぶん下地の段差がそのまま目地の浮きやガタつきになるので、下地は平滑に仕上げるのが肝心です。弱い面はフロアシーアップ、突起は削り、亀裂・凹みはアースシール速硬、不陸はアースコート60。貼りは下地に接着剤を塗り、オープンタイムをとってからタイルを張り付け、圧着可能時間内にローラーで馴染ませます。

Pタイル(コンポジションビニル床タイル)とフロアタイル(複層ビニル床タイル)の違いの対比図。Pタイルは充填材が多く硬め安価で学校事務所向け、接着剤はNP-2000。フロアタイルは塩ビ比率が高く意匠性が高く住宅店舗向け、接着剤はNP-5000
図1:Pタイル(コンポジション)とフロアタイル(複層)の違い

フロアタイル(複層)

複層ビニル床タイルで、木目や石目の意匠性が高く、住宅から店舗まで幅広く使われます。接着剤はアクリル樹脂系エマルション形の「プラゾールNP-5000」(または「プラゾールN-タイト・エコロン」「プラゾールAC-9」)。意匠が命なので、下地の凹凸が表面に響かないよう平滑に仕上げます。この床材で特有なのが突き上げです。施工直後に温度が急に変わるとタイルが伸縮して目地どうしが押し合い、継ぎ目が盛り上がります。日当たりの強い窓際や、暖房・冷房を一気に効かせた直後に起きやすい現象です。防ぐには接着剤をしっかり圧着して下地に密着させること、施工後は急激な温度変化を避けること。床材と接着剤を前日までに搬入して現場の温度になじませておくと、施工後の伸縮も抑えられます。

フロアタイルの突き上げの図。施工後に温度が急変するとタイルが膨張して目地どうしが押し合い継ぎ目が盛り上がる。接着剤を十分に圧着し、施工後は急激な温度変化を避けて養生することで防ぐ
図1:突き上げの仕組みと防ぎ方(温度急変で膨張→目地が押し合う)

タイルカーペット

オフィスや店舗の定番で、貼り替えが部分的にできるのが利点です。接着剤はピールアップ糊(貼っても固まりきらず、剥がして貼り直せる粘着状態を保つ糊)を使います。この床材で最大の落とし穴が下地による塗り方の違いです。吸い込みのないOAフロアやビニル床に、吸い込み下地と同じコテベラで塗ってしまうと、糊が下地に入らず量が足りなくなってタイルが横ずれします。吸い込まない下地はローラーで均一に、が鉄則です。塗り方ひとつでズレるかどうかが変わります。下地は手でこすって粉が付くようならフロアシーアップで固め、突起を削り、亀裂・凹みをパテで平滑にしてから進めます。

ピールアップ糊の仕組みの図解。接着剤を塗る、白い糊が乾いて透明になるまでオープンタイムをとる、タイルカーペットを置くと固着せず後から1枚だけ剥がして貼り替えできる、という3段階の流れ
図1:ピールアップ糊の流れ(塗布→乾燥して透明化→固着せず貼り替え可能)

ニードルパンチカーペット

展示会やオフィスで使うロール状のカーペットで、広い面を安く早く仕上げたいときに選ばれます。部分的な貼り替えをしたいならタイルカーペット、という使い分けです。接着剤は合成ゴム系ラテックス形の「プラゾールNP-2000」(または「プラゾールNP-2300」「プラゾールF-9」)。薄手なので下地の凹凸をよく拾います。毛足に響く突起やゴミは残さず清掃し、不陸はならしておきます。もう一つの注意が裏面の形状で、裏面に凹凸のあるカーペットは接着剤ののり量が変わります。本施工の前に試験施工して、必要な塗布量を確かめておくと安心です。

ニードルパンチカーペットとタイルカーペットの違いの図。ニードルパンチはロール状で広い面を一気に貼りプラゾールNP-2000で施工。タイルカーペットは四角いタイルでピールアップ糊で貼り替えできる
図1:ニードルパンチ(ロール)とタイルカーペット(タイル)の違い

フローリング(直貼り)

マンションのコンクリート床に直接貼る工法です。接着剤はウレタン系の「プラゾールUF-ライト」。下地に塗り、木質床材を取り付けたらオープンタイムをとり、十分に圧着して馴染ませます。木質系なので下地の水分が反りや接着不良に直結します。コンクリート直貼りでは乾燥期間の確認が欠かせません。また集合住宅では遮音等級が要求されることが多く、裏にクッション材の付いた遮音フローリングを使います。この場合はクッション材に適合する専用接着剤と塗布量が指定されるので、一般のフローリング用と同じにはできません。壁際には木材の伸縮を逃がすクリアランスを取ります。詰めて張ると突き上げや浮きが出ます。

マンションの直貼りフローリングの断面図。コンクリート(モルタル)下地の上にウレタン系接着剤プラゾールUF-ライトを塗り、その上に木質フローリングを直接貼る構成
図1:直貼り工法の構成(コンクリート下地+ウレタン系接着剤+フローリング)

リノリウム

見た目は塩ビシートと似ていますが、亜麻仁油などを原料とする天然素材で、中身が違うので施工も変わります。接着剤はウレタン系の「プラゾールUF-ライト」。塩ビ用の接着剤を流用すると天然素材のリノリウムには合わず、剥がれや反りの原因になります。専用接着剤を使うのが鉄則です。もう一つ知っておきたいのがアンバーリングで、製造直後はうっすら黄ばんで見えることがありますが、施工して光に当たると本来の色に落ち着きます。「貼った直後の色が違う」と慌てないこと。不良ではなく天然素材の特性です。下地は平滑に整え、粉っぽい面はフロアシーアップで締めてから貼ります。

リノリウムと塩ビシートの違いの対比図。リノリウムは亜麻仁油やコルク粉など天然素材でウレタン系接着剤を使い水やアルカリに弱く施工後に黄ばみが落ち着く。塩ビシートは石油系でアクリル系接着剤を使う
図1:リノリウムと塩ビシートの違い(素材・接着剤・性質)

コルク系床材

この床材は裏面の処理で使う接着剤が変わります。裏面が無処理か、塩ビ加工されているかをまず確認します。ここを間違えると接着不良で浮きや反りが出るので、貼る前に裏を見るのが最初の作業です。無処理なら速乾マイルド、塩ビ加工されていればUF-ライト、というように裏面に合わせて選びます。コルクは下地の凹凸を拾いやすいので、弱い面はフロアシーアップで固め、突起を削り、亀裂・凹みはアースシール速硬、不陸はアースコート60で平滑に仕上げます。天然素材で温かみのある質感が売りなので、下地づくりの精度がそのまま仕上がりの価値になります。

コルク系床材の接着剤の使い分け図。裏面が無処理のコルクはプラゾール速乾マイルドで木殺し圧着、裏面が塩ビ加工されたコルクはプラゾールUF-ライトでローラー圧着する
図1:コルクは裏面の状態で接着剤を使い分ける

ゴム系床材

トレーニングジム・工場の作業エリア・体育館などで使う、弾力と滑りにくさ、衝撃吸収性のある床材です。接着剤はウレタン系の「プラゾールUF-ライト」。厚みがあるぶん下地の段差を隠しやすいと思われがちですが、接着面が浮くと重い荷重で剥がれるので下地は平滑に仕上げます。この床材の特徴は、重い器具や台車が乗り、激しい動きで横方向の力もかかることです。接着剤が下地や床材に合っていないと、使ううちにずれたり端が浮いたりして、つまずきや転倒の原因になります。全面をしっかり圧着して密着させることが、そのまま安全につながります。器具の搬入や使用開始は、接着剤が十分に硬化してからにします。

ゴム系床材の施工の図。ジム・工場・体育施設の床に、ウレタン系接着剤プラゾールUF-ライトを塗ってオープンタイムをとり、ローラーで圧着して貼る
図1:ゴム系床材はウレタン系UF-ライトでしっかり圧着して貼る

人工芝(屋外)

ベランダ・屋上・屋外に貼るケースです。屋外は雨がかかり、コンクリート下地からも湿気が上がるため、一般的な水性系接着剤では水分で接着が切れて人工芝が浮く・めくれることになります。水に強いウレタン系「プラゾールUF-ライト」による耐湿工法を使います。屋外は土砂や落ち葉、コケなどで汚れていることが多いので清掃は念入りに。汚れの上に貼るとその層ごと剥がれます。下地のコンクリートがもろい場合は表面を整え、内部まで弱い場合は施工を見送るか下地を作り直します。一番多い失敗が水勾配や排水を考えずに全面ベタ貼りしてしまうこと。芝の下に水がたまると下地を傷めるので、排水口を塞がない、端部に水が抜ける逃げを残すといった配慮が要ります。室内の床貼りとは別物と考えるくらいでちょうどいいです。

人工芝の耐湿工法の図。一般の水性系接着剤は屋外の水分や下地の湿気で接着が切れて人工芝が浮くNG。ウレタン系プラゾールUF-ライトの耐湿工法は水がかりや湿気に強く接着が保たれるOK
図1:屋外では一般の接着剤は湿気で剥がれる。耐湿工法(ウレタン系)で水に強くする

ソフト巾木

床材の見切りとして壁際に貼る塩ビの巾木です。接着剤は標準工法の「プラゾール水性巾木糊スーパー」と、粘着タイプの「プラゾールTR-巾木用」の2つがあり、どちらを使うかで貼るタイミングと作業のしやすさが変わります。TR-巾木用は下地が平らでないと食いつきが落ちます。専用スプレッダーで糊に筋を付けて貼る仕組みなので、下地に不陸があると糊が当たらない部分ができて、そこから浮きます。逆に水性巾木糊スーパーは塗ってすぐ貼るぶん位置を直しやすいので、コーナーの多い細かい現場で重宝します。現場の条件で選び分けるのが正解です。貼る壁面の下地も重要で、汚れ防止加工やフッ素樹脂加工がされた壁紙、凹凸の大きい壁紙の上にはそのまま貼れません。糊が食いつかず、貼ってもすぐ剥がれてくるので、表層を剥がして平滑にしてから貼ります。

ソフト巾木の入隅・出隅の処理図解。出隅は巾木をヒートガンで温めて角に沿わせて折り曲げ、入隅は温めた巾木をヘラで角に押し込んで型を付ける。浮いた部分は瞬間接着剤で押さえる
図1:入隅・出隅はヒートガンで温めて型を付けてから貼る

【下地別】下地処理のポイント早見表

接着剤が活きるかどうかは下地で決まります。下地ごとの処理ポイントと、詳しい記事の一覧です。

下地 処理のポイント 詳しい記事
モルタル・コンクリート 水分確認・平滑化
未養生モルタル 水分を確認して工法を判断
セルフレベリング(SL) 乾燥を確認
合板(コンパネ) 段差・ビス頭・継ぎ目を整える
既存ビニル床(平滑) 直貼り/全面下地処理
既存ビニル床(凹凸・エンボス) 全面パテで平滑に
既存床に重ね張り(粘着型) 剥がさず貼る条件を確認
床糊残存 古い糊を全面パテで封じる
塗り床(エポキシ等) 密着をテスト貼りで確認
鉄板・金属床 防錆・密着のテスト貼り
磁器タイル・石材 目地を全面パテで平滑に

モルタル・コンクリート

床下地の基本形です。最重要は乾燥の確認で、高周波水分計などで測り、要領書の基準値で施工の可否を判断します。乾いて見えても内部に水分が残っていることがあるので、見た目だけで判断しないのが鉄則です。水分が残ったまま貼ると、逃げ場を失った水分が床材を膨れさせ、接着剤を劣化させます。あわせて表面が弱い・粉っぽい場合はフロアシーアップで固めます。下地内部まで弱い場合は施工を避けるか作り直します。そのうえで突起はスクレイパーで削り、亀裂や凹みは「アースシール速硬」で埋め、コテムラなど全体的な不陸は「アースコート60」でならして完全に硬化・乾燥させます。床材は下地の凹凸をそのまま拾うので、平滑な面づくりが仕上がりを決めます。

コンクリート・モルタル下地処理の図。高周波水分計で乾燥を確認し、弱い表面はフロアシーアップで強化、突起は削り、亀裂や不陸はアースシール速硬とアースコート60で平滑にしてから床材を貼る
図1:コンクリート・モルタル下地処理の流れ(水分確認→強化→平滑化)

未養生モルタル

打設したばかりで乾ききっていない下地です。ここでの判断はひとつ、貼るか、待つか。水分の確認方法は高周波水分計のほか、下地にポリエチレンシートを貼って一定時間後に水滴が付くかを見る方法などがあります。水滴が出るほど湿った下地に無理に貼ると、水分の逃げ場がなくなって床材の膨れ・剥がれ・接着剤の劣化につながります。「まだ湿っている」と出たら待つのが、結局は一番早い仕上げになります。工期に追われて先に進めたくなる場面ですが、貼り直しのコストと比べれば待つほうが安いという判断です。施主や元請に対しても、乾燥期間が品質に直結することを先に伝えておくとトラブルになりにくくなります。

未養生モルタルの水分確認と判断の図。ポリエチレンシートを密閉して一昼夜置き、変化なしなら一般用接着剤、薄く変色なら耐水形接着剤、水滴が付着するなら施工を延期する
図1:水分の確認結果で施工を判断する(変化なし→一般用/変色→耐水形/水滴→延期)

セルフレベリング(SL)

流し込むと自分の重さで水平に広がり、平らな床面をつくるセメント系の下地材です。コテで均すモルタルと違い材料自身が水平になろうとするため、広い面でもムラなく平滑な下地ができます。事務所・店舗・倉庫でよく使われます。もともと平滑なので下地処理は最小限で済むことが多い一方、SLは内部に水分が残りやすいのが要注意点です。表面が乾いて見えても中は湿っていることがあるので、水分計での確認は省けません。欠けや巣穴があればアースシール速硬で埋め、表面が弱い・粉っぽければフロアシーアップで固めます。その後、貼る床材に合わせて適合する接着剤を選び、オープンタイムをとってから圧着します。

セルフレベリングSL下地の図。SL材を流し込むと自分の重さで水平に広がり平らな床面になる。床材を貼る前には水分計などで乾燥を確認する
図1:SLは流すと自然に水平になる下地材。貼る前に乾燥を確認する

合板(コンパネ)

戸建てリフォームでよくある木質下地です。整えるのは段差・たわみ・ビス頭の3点。合板どうしの段差はサンダー等で削り、たわみはビスを追加して固定し、出っ張ったビス頭はハンマー等で沈めます。たわむ床のまま貼ると、踏むたびに動いて床鳴りや継ぎ目の割れが出ます。そのうえで継ぎ目(目地)・凹み・釘頭部を「アースタック」で埋めて平滑にし、完全に硬化・乾燥させます。薄い床材だと継ぎ目がそのまま表に響くので、パテでフラットにしておきます。見落としやすいのが合板に使われている防炎剤や防腐剤で、これらの成分が床材を変色させることがあります。とくに合板を裏返して使ったときや下地が薄いときに出やすいので、心配なときは目立たない所で試し貼りしてから本施工に入ると安心です。

合板コンパネ下地の処理図。合板の段差はサンダーで削る、たわみはビスを追加して固定する、出っ張ったビス頭はハンマーで沈める、合板の継ぎ目や凹みはアースタックで埋めて平滑にする
図1:合板下地の処理(段差を削る・たわみを固定・ビス頭を沈める・継ぎ目を埋める)

既存ビニル床(平滑)

既存のPタイルやビニル床シートを剥がさず、その上から貼るケースです。上から貼れるのは表面が平滑なものに限られます。同じビニル床でも、タイル(小割り)とシート(大判ロール)では気をつける点が違い、タイルは1枚ずつの浮きや目地の段差、シートは全体の浮きや継ぎ目の状態を見ます。共通して、浮き・剥がれがあれば補修し、ワックスが塗ってあれば剥離剤で除去して乾かします。注意したいのがエンボス(凹凸柄)で、直貼りすると新しい床材の表面に下の柄がうっすら浮き出ることがあります。「貼った後に元の模様が透けて見える」とクレームになりやすいので、柄の強い既存床はリフォームシールで一度フラットにしてから貼ると安心です。下地の柄は意外と上に出ます。

既存のビニル床タイルとビニル床シートの違いの対比図。ビニル床タイルは小割りで反り防止に平滑な場所で保管し部分対応しやすいが目地が多い。ビニル床シートは大判ロールで巻き癖を仮敷きで取ってから貼り継ぎ目が少ない
図1:既存のビニル床タイルとビニル床シートで気をつける点の違い

既存ビニル床(凹凸・エンボス)

表面に凹凸のある既存床です。平滑な床なら直貼りが選べますが、エンボスがあるとそのまま貼れません。凹凸が新しい床材の表面に浮き出るうえ、接着剤が均一に当たらず密着が不安定になるためです。手順は、剥がれや浮きの補修、汚れの洗浄と乾燥、ワックスがあれば剥離剤で除去。ツルツルの床は目荒らしをしてから、全面パテで凹凸を埋めて平滑にします。落とし穴が1回塗りで埋まった気になることで、塗った直後は埋まって見えても、乾くとパテが痩せて凹凸が浮き戻ってきます。手で触ってフラットでも、横から光を当てて影が出るならまだ凹凸が残っているサイン。光を当ててチェックすると失敗が減ります。

凹凸のある既存床への重ね張りの下地処理図。凹凸を残したまま貼ると凸部しか接着せず下の柄が陰影として浮き出る。アースコート60などで全面パテして平滑にしてから貼ると接着面が均一になりきれいに仕上がる
図1:凹凸を残して貼る場合と、全面パテで平滑にしてから貼る場合の違い

既存床に重ね張り(粘着型)

既存床を剥がさず、粘着タイプの「プラゾールTR-重ね張り用」で貼る工法です。一番大事なのは施工前のこの床は上から貼れるのかという判断。誤ると新しい床材ごと浮いたり割れたりして、結局やり直しになります。下地にできるのはビニル床タイルとビニル床シート。ただしメッシュバックの長尺シートなど裏面が平滑でないものは対象外です。裏面が凸凹していると接着剤が均一に当たらず、十分な接着が得られません。粘着型ならではの注意として、強く圧着すると一気に食いついて、ずらしや剥がしが効かなくなります。だから位置がきちんと決まってから本圧着するのが鉄則。仮に置いて位置を合わせ、確認してからローラーをかける、この順番を守ると失敗しません。

床の重ね張り可否の判断図。剥がさず貼れる床はビニル床タイル・ビニル床シートで裏面が平滑、浮きや剥がれがない、下地がしっかりして沈み込まない、ワックスや汚れを除去できる床。剥がすべき床は下地が柔軟で沈み込む、浮き・剥がれ・ひび割れが直せない、強度不足の床
図1:剥がさず重ね張りできる床と、剥がすべき床の見分け方

床糊残存

既存床を剥がしたあと、下地に古い接着剤が残っている状態です。そのまま新しい接着剤で貼ると、古い糊が新しい接着剤に溶けて接着不良を起こしたり、糊の凹凸が表に響いたりします。手順は2段階で、まず下地への密着が悪くなっている糊は剥離・除去します。浮いたりめくれたりしている糊を残すと、そこが弱点になるからです。そのうえで、密着している残りの糊は全面パテで封じ込めて平滑にします。全部を無理に削り取るのではなく、「悪いところは取る、残るところは封じる」という考え方です。古い糊の除去そのものは、下の撤去・剥がしの項目で扱う床用トルトーレを使う方法が基本になります。

床糊残存下地の施工図。古い糊の上に直貼りすると劣化した糊ごと剥がれるNG。アースコート60で糊が見えなくなるまで全面パテして平滑にしてから貼ると新しい接着剤が効くOK
図1:古い糊の上に直貼りする場合と、全面パテで封じてから貼る場合の違い

塗り床(エポキシ等)

工場や倉庫のエポキシ塗り床の上に床材を貼るケースです。まず既存の塗膜をチェックし、浮き・剥がれ・ひび割れがある部分は周辺の浮いた塗膜まで含めてすべて除去し、できた段差を「アースタック」で平滑にして完全に硬化・乾燥させます。塗り床そのものの強度が弱い場合は全部剥離します。油汚れがあれば洗剤で落として乾かします。この下地で必ずやるのが接着剤の密着テストで、ウレタン系「プラゾールUF-ライト」でテスト貼りを行い、塗膜にしっかり密着するかを確認してから本施工に入ります。塗膜の種類や状態によって食いつきが読めないため、ここを飛ばすと面ごと剥がれるリスクがあります。

塗り床下地への床材施工の図。塗膜にプラゾールUF-ライトでテスト貼りし、密着しない場合はサンダーで塗膜を目荒らし・切削してから床材を貼る
図1:塗膜にテスト貼り→密着しなければサンダーで目荒らししてから貼る

鉄板・金属床

鉄骨階段の踊り場や設備室など、金属面に床材を貼るケースです。無処理の鉄板の場合はエポキシ樹脂系の防錆塗料を塗って乾かします。錆びたまま貼ると、錆が進んで床材ごと浮きます。油分などの汚れは洗剤で除去して乾かし、付着物はサンダーで削って平滑に。たわみや継ぎ目が大きい場合はビス等で固定して動かないようにします。接着剤はウレタン系の「プラゾールUF-ライト」。塗り床と同じく密着のテスト貼りで確認してから本施工に入ります。金属は温度で伸縮し、結露もしやすいので、施工環境の条件も併せて見ておきます。

金属床下地への床材施工の図。無処理の鉄板は防錆塗料を塗り、ウレタン系プラゾールUF-ライトで貼る。ステンレスなど特殊な金属はテスト貼りで密着を確認し、密着しなければサンダーで目荒らしする。結露と温度伸縮に注意
図1:金属床下地の施工(防錆→密着確認→UF-ライト。結露・温度伸縮に注意)

磁器タイル・石材

既存のタイルや石材の上に床材を貼るケースです。剥がれ・浮きがあればすべて取り除いて「アースタック」で平滑にし、完全に硬化・乾燥させます。汚れは洗浄し、石材や大理石にワックスが塗ってあれば除去してからパテ処理に入ります。ワックスの上にパテや接着剤を乗せても食いつきません。この工事の中心は目地の不陸処理です。「アースコート60」または「リフォームシール」を、タイル面・石材面と目地が見えなくなる程度まで全面に塗って平滑にし、完全に硬化・乾燥させます。目地の溝を埋め切って、フラットな一枚の面をつくるイメージです。ここが甘いと目地のラインが床材の表に格子状に浮きます。

磁器タイル・石材下地への床材施工の図。タイルの目地の溝をアースコート60やリフォームシールで全面パテして埋め、目地が見えなくなるまで平滑にしてから床材を貼る。事前のサンディングで付着が良くなる
図1:タイルの目地を全面パテで埋めて平滑にしてから床材を貼る

【撤去・剥がし】既存の床材と接着剤を取り除く

張り替えの現場では、貼る前に既存の床材と古い接着剤を撤去する作業が入ります。ここを力任せに進めると下地を傷めて、かえって下地処理の手間が増えます。薬剤で軟化させてから取るのが基本です。

床材の剥がし方(床用トルトーレ)

既存の床材と糊を剥離する作業です。まずトルトーレが効くかを試します。床材を一部だけ剥がして接着剤を露出させ、そこに「床用トルトーレ」を塗り、10〜20分置いて接着剤が溶けてくるかを確認してから本作業に入ります。剥がし方は床材の種類で変わりますが、共通するのは表層を先に剥がし、下地に残った糊や裏打ちにトルトーレを効かせるという流れです。薬剤で軟化させてからスクレイパーを入れるほうが、力任せに削るより下地を傷めず早く進みます。剥がしたあと下地に糊が残る場合の貼り方は、上の「床糊残存」の項目を参照してください。薬剤を使うので換気と保護具は必須です。

床用トルトーレで床材を剥離する4ステップの図。カッターで切れ目を入れて表層を剥がす、残った糊や裏打ちにクシ目ゴテでトルトーレを塗る、養生シートで覆って放置する、スクレイパーで床材と接着剤を除去する
図1:床材剥離の流れ(表層を剥がす→トルトーレ塗布→養生して放置→スクレイパーで除去)

床に付いた接着剤の剥がし方

接着剤の除去は、まだ乾いていない未乾燥か、すでに固まった硬化済みかで対処が分かれます。とくに覚えておきたいのが、エポキシ樹脂系・ウレタン樹脂系は硬化すると除去が非常に困難になること。これらは固まる前に必ず除去します。後回しにすると、もう簡単には取れません。固まってしまった接着剤は、種類に合った薬剤で軟化させてから除去します。いきなり削るのではなく、溶剤やクリーナーを置いて柔らかくしてからが基本です。ここでやりがちなNGが、早く落としたくてシンナーやラッカーうすめ液をいきなり使うこと。ビニル系の床材は表面が溶けて白くなったり、艶が消えたりします。接着剤は取れても床が傷んでは本末転倒です。種類に合った薬剤を、目立たない所で試してから使うのが鉄則です。

床に付いた接着剤の落とし方の早見図。固まる前は濡れ雑巾や接着剤クリーナーで拭き取る。硬化後は種類別に水性は接着剤クリーナー、酢ビ系はメタノール、ゴム系はクリーナーと灯油、タイルカーペット用はTCリムーバーで軟化させてから除去する。やってはいけないのはシンナーで擦る・刃物で削る・繊維の糊を無理に取る
図1:接着剤の状態別・種類別の落とし方と、やってはいけない除去

【接着剤のタイプ】4つの系統を押さえる

  • ゴム系・アクリル系ラテックス形(NP-2000/NP-5000など):塩ビ系の床材を吸水性下地に貼る一般工法の主役。CF・Pタイル・フロアタイル・カーペット系
  • ピールアップ形(TC-1):乾いて透明になってから貼る粘着糊。タイルカーペットを後から1枚貼り替えできる
  • ウレタン系(UF-ライト):水に強く弾力がある。耐湿工法(浴室・人工芝)、フローリング直貼り、リノリウム、ゴム、金属、塗り床など
  • 溶剤形(速乾マイルドなど):強い初期接着が要る場面。コルクや巾木のコーナー。換気・火気に注意

【要注意】接着剤の選定ミスで起きる事故

床材の接着剤を間違えると、おもに次の3つの形で事故になります。施工直後は問題なく見えても、数か月後に出てくるのが厄介なところです。

選定ミスで起きる代表的な3つの事故

① 剥がれ:既存ビニル床や金属など非吸水の面に、吸水性下地用の水性糊を使うと食いつかず剥がれる。塗り床や金属はテスト貼り+目荒らしが必須。

② 突き上げ:温度変化での伸縮、未乾燥下地の水分、古い糊の再軟化で、目地が押し合って盛り上がる。下地の乾燥確認と養生で防ぐ。

③ 変色:合板の防炎剤・防腐剤の染み出し、塩ビ用の糊をリノリウムに流用、強い溶剤での床材の溶け。心配なときは目立たない所で試し貼りを。

どの事故も、「床材と下地に合った接着剤を、正しい下地処理の上で使う」ことで防げます。迷ったときはこの早見表に戻り、該当する床材・下地の項目を確認してください。床に残った接着剤の除去方法や、古い床材の剥離方法も、このページ内で解説しています。

出典・参考資料

このページの早見表(床材14種・下地11種)は、公開されている施工要領書と接着剤選定資料を突き合わせ、内装材を扱う商社としての実務経験を加えて、当サイトが1ページにまとめ直したものです。参照した一次資料は、ヤヨイ化学工業株式会社が公開している接着剤選定一覧(PDF)と床材施工要領書のページで閲覧できます。接着剤の選定は床材・下地・使用環境によって変わるため、実際の施工では各製品の最新の使用方法・安全データシート(SDS)を必ずご確認ください。

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この記事を書いた人

インテリア商社・マネージャー。現場に関わり続け、実務目線でツールの仕様監修を担当。「現場で本当に使えるか」を判断基準にしています。

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