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2026年7月、サンゲツ・東リ・リリカラ・ルノンといった主要メーカーが壁装材や床材などをそろって18〜30%値上げします。内装の工事店にとっては、仕入れが上がるだけでなく「決まっていた見積もりをどう通すか」「欠品や納期遅れにどう段取りをつけるか」「値上げで膨らむ立替をどう回すか」がまとめて押し寄せてくる局面です。
この記事では、内装材を扱う商社の立場から、工事店が損をしないための値上げの受け止め方と実務の段取りを整理します。施主向けの解説ではなく、現場で材料を回す側に向けた内容です。
2026年7月、あなたの仕入れは何が・いつ・何%上がるのか
まずは公表されている数字を整理します。下の表は各社の公式発表をもとにした適用時期と値上げ幅です。いずれも壁装材だけでなく、のり・接着剤・巾木などの副資材までまとめて対象になっている点に注意してください。日々の仕入れで効いてくるのは、実はこの副資材の値上がりだったりします。
| メーカー | 適用時期 | 値上げ幅 | 主な対象 |
|---|---|---|---|
| サンゲツ | 2026年7月1日 受注分〜 | 18〜30% | 壁装材・床材・副資材・接着剤ほか |
| 東リ | 2026年7月27日 受注分〜 | 20〜30% | 床材・壁装材・カーテン・巾木・接着剤ほか |
| リリカラ | 2026年6月29日 出荷分〜 | 15〜30% | 壁装材・カーテン・床材・副資材ほか |
| ルノン | 2026年7月1日〜 | 20〜30% | 壁装材・副資材ほか |
| トキワ工業 | 2026年7月6日 出荷分〜 | 20〜30% | 壁装材ほか |
トキワ工業も壁装材を2026年7月6日出荷分から20〜30%引き上げます。主要各社がほぼ横並びで動いていて、「どこかのメーカーに切り替えれば値上げを避けられる」という状況ではありません。
サンゲツが壁紙シェアの過半を握っているので、サンゲツが改定を出すと他社が追随します。過去の値上げでも繰り返されてきた流れです。
「受注分」か「出荷分」かで、対象になる案件が変わる
見落としやすいのが、値上げの基準が会社ごとに違う点です。サンゲツと東リは「受注日」が基準、リリカラとトキワは「出荷日」が基準になっています。
ここを取り違えると一手分の利益が飛ぶ
出荷分が基準のメーカーは、発注済みでも出荷が改定日以降にずれ込むと新価格になります。手持ちの案件がどちらの線で切られるか、品番ごとに先に確認しておきましょう。
なぜ一斉に上がるのか
背景はどのメーカーもほぼ同じです。中東情勢の緊迫化を起点に、原材料から物流まで一斉にコストが上がりました。
- 原油・ナフサの高騰
- 塩ビ樹脂・可塑剤・繊維など主原料の調達難
- 製造・物流コストの上昇
さらに今回は、断熱材など一部品目で受注制限(アロケーション)もかかっています。値段が上がるだけでなく「そもそも入ってこない」リスクが同居しているのが今回の特徴です。
値上げは今回が一度きりじゃない
シェア過半のサンゲツで見ると、値上げ幅は数年おきに積み上がっています。
- 2021年:13〜18%
- 2024年:10〜15%
- 2026年:18〜30%
1回ごとは飲み込めても、積み上がった今は仕入れ単価の景色が完全に変わっています。
値上げ分を顧客見積もりにどう”正当に”反映するか
ここが工事店にとって一番の悩みどころで、商社として一番後押しできる場所でもあります。値上げを自腹で被るか、客に通すか。通すなら角を立てずにどう通すか。
ポイントは一つです。「こちらの都合で上げている」のではなく「メーカー改定に連動した正規の改定だ」と示せるか。ここを押さえると通り方が変わります。具体的には次の4つです。
- 公的な根拠を添える:メーカーの価格改定通知や報道を見積書の補足として添えると、値上げが個社の判断ではなく市場全体の動きだと伝わります。口頭で「上がるんですよ」と言うより通りが段違いです。
- 見積もりの有効期限を切る:「本見積もりは○月○日まで有効」と明記しておくと、旧単価がいつまで通用するかの線引きが客側にも伝わり、後出しのトラブルを防げます。
- 進行中案件の線引きを先に伝える:着工済み・発注済みの分は旧価格、これから拾う分は新価格、と早めに共有しておくと「同じ工事なのに値段が違う」というクレームになりにくいです。
- 転嫁しきれないときの代替を持つ:総額を抑えたい客には、同等グレードの別品番や施工範囲の調整を提案する。値段の話を品質と選択肢の話に振り替えると、関係を壊さずに着地できます。
見積もりを出し直すときの注意点
改定前に出した見積もりが宙に浮いていると、後から「前の金額でやってよ」と言われがちです。改定のタイミングが読めている今のうちに、有効期限切れの見積もりを洗い出して連絡を入れておくのが安全です。
欠品・受注制限・納期遅れにどう段取りをつけるか
今回は価格だけの話ではありません。原料調達の逼迫で、一部の品目は受注制限や納期遅れが出ています。値上げ前の駆け込みも重なるので、人気品番ほど「頼んだのに入らない」が起きやすい時期です。段取りで効くのは次の3つです。
- 拾い出しを前倒しする:着工が先の案件でも、品番と数量だけは早めに確定させて在庫と納期を押さえる。
- 代替品番を決めておく:定番が欠けたときに即出せる「振り替え先」を客の了解込みで用意しておくと、現場を止めずに済みます。
- 制限がかかりそうな品目は商社に相談:在庫の動きやアロケーションの状況は、現場に出入りしている商社が一番早くつかんでいます。
旧価格ロット・先行発注は”買い”なのか
改定前に旧価格でまとめ買いしておくか、という相談はこの時期に必ず出ます。結論から言うと「全部先行発注」は勧めません。値上げ幅が大きいので魅力的に見えますが、在庫を抱えるリスクと表裏一体だからです。
- 資金が先に固定される:仕入れ代金が在庫に化けて、手元の現金が薄くなります。
- 保管と劣化のリスク:壁紙やのりは置き場所も取るし、保管が悪ければ使えなくなることもあります。
- 読み違いのリスク:色番が廃番になったり、客の好みが変わったりすると、安く買ったはずが不良在庫になります。
現実的には「回転の速い定番品・確定済み案件の分だけ旧価格で押さえる」くらいが落としどころです。先行発注は投機ではなく、確定した需要の前倒しに留めるのが安全です。
値上げを”提案力”に変える3つの売り方
値上げは守りだけの話ではありません。単価が上がる局面こそ、提案の幅で差がつきます。工事店の営業が客に対して価値として出せる切り口を3つ挙げます。
- 長寿命グレードでサイクルを延ばす:張り替え周期が延びれば、単価が上がっても長い目でのコストは抑えられる、という説明に持っていけます。
- グレード代替で総額を調整する:全面を上位品にせず、目につく面だけグレードを上げて、ほかは標準品で締める。総額をコントロールしながら満足度を保てます。
- まとめ発注で段取りを効率化する:複数現場・複数部屋をまとめて拾うと、発注も施工も段取りがよくなり、値上げ分の一部を効率で吸収できます。
値上げで増える”立替”と資金繰り
見落とされがちですが、値上げは資金繰りにも効いてきます。材料の仕入れは先払い、工事代金の入金は工事が終わってから。このズレ自体は前からありますが、単価が上がると立替の金額そのものが膨らみます。
同じ件数をこなしていても、立て替える現金は確実に増えるわけです。
このズレをしのぐ手段の一つが、売掛金を早めに現金化するファクタリング。借入ではなく、これから入る工事代金を前倒しで受け取る仕組みなので、立替が膨らむ局面の資金繰り対策として選択肢に入ります。
回転の谷を埋める手段の一つとして知っておくと、判断の幅が広がります。
ファクタリングの詳細をみる▶labol(ラボル)
まとめ
2026年7月の値上げは避けられませんが、利益が削られるかどうかは受け止め方と段取りで変わります。やることは4つです。
- 改定の根拠を添えて、見積もりを正当に通す
- 欠品と納期は、前倒しの拾い出しで防ぐ
- 先行発注は、確定需要の分だけに絞る
- 膨らむ立替は、資金繰りで受け止める
値上げを値段の話だけで終わらせず、提案と段取りの機会に変えていきましょう。仕入れ・積算・納期の相談は、現場に立ち会う商社を使い倒すのが近道です。
出典
- サンゲツ「取引価格改定に関するお知らせ」(各社公式発表):公式ページ
- 東リ「お取引価格改定のお知らせ」(各社公式発表):公式ページ
- リリカラ「価格改定のお知らせ」(公式発表 2026年4月14日):公式ページ
- ルノン「お取引価格改定に関するお知らせ」(公式発表 2026年4月20日掲載):公式ページ
- トキワ工業「販売価格改定のお知らせ」(公式発表 2026年4月17日):公式ページ
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