壁紙の重ね貼り(捨て糊工法)|クロスを剥がさず上から貼る条件と手順

重ね貼り(捨て糊工法)の施工方法
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古いビニル壁紙(クロス)を剥がさず、その上から新しい壁紙を貼る方法が「捨て糊工法」です。剥がし作業がいらないぶんリフォームの工期と手間を抑えられますが、どんな下地でも上から貼れるわけではありません。重ね貼りできる条件・できない条件を最初に押さえておかないと、数ヶ月後に全面が浮いてやり直しになります。

この記事は、メーカー公式の施工要領書をベースに現場目線で解説します。クロスを上から貼るための判断基準から、捨て糊・パテ・貼り付けまでの手順を工程順にまとめました。

■ 施工の全体フロー
  1. 事前チェック
  2. 養生
  3. 捨て糊処理
  4. パテ処理
  5. 壁紙貼り
目次

【重ね貼りの可否】剥がさず重ね貼りできる条件・できない条件

捨て糊工法に入る前に、その壁が重ね貼りに向いているかを必ず判断します。無理な下地に重ねると、捨て糊や新しい壁紙の重みで既存クロスごと剥がれてきます。下の表を目安にしてください。

重ね貼りできる目安避けた方がよい(できない)目安
既存壁紙がしっかり密着している浮き・剥がれがあり補強しても止まらない
表面の汚れ・油分を除去できる汚れ・油分が落としきれない
密着の試験(後述)に合格するフィルムコーティング壁紙でサンディング未処理
内装制限のかからない部屋内装制限を受ける現場(防火壁装工事)

特に防火が絡む現場では、重ね貼りそのものが認められないことがあります。判断に迷う物件は、貼る前に確認しておくのが安全です。

【事前確認】浮き・汚れ・防火制限をチェック

既存壁紙に浮きや剥がれがあれば補強し、動く下地は固定します。表面の汚れ・油分は中性洗剤などで落とし、固く絞った雑巾で拭き取って乾かしてから先へ進みます。油分が残ったまま捨て糊をしても密着しません。ここで手を抜くと、後工程をどれだけ丁寧にやっても剥がれます。

【養生】パテと糊の付着を防ぐ

床、枠廻り、柱、巾木、見切り材などに、パテや接着剤が付かないよう養生します。捨て糊はローラーで広く塗るぶん飛び散りやすいので、先に養生しておく方が結局は早いです。養生を省くと、はみ出した糊が乾いて枠材にシミを残します。

【捨て糊処理】プラゾールSSで密着する下地をつくる

捨て糊工法の要が、この工程です。「プラゾールSS」を原液、または約10%の水で薄め、刷毛やローラーで下地全面に均一に塗ります。塗布量の目安は125g/㎡。既存壁紙のエンボス(凹凸)が大きいときは塗布量を多めにして、凹みまで密着させます。塗り終えたら完全に乾かします。

捨て糊工法の層構成。既存ビニル壁紙の上に捨て糊プラゾールSS、水性リフォームパテW、RINOで仕上げ壁紙を重ねる断面図
図1:捨て糊工法の層構成(既存壁紙を剥がさず、捨て糊→パテ→新しい壁紙の順に重ねる)

捨て糊の前に、クラフトテープを貼って剥がす簡易チェックで密着を確認します。テープに既存壁紙が付いてくる(密着が悪い)場合は、サンディング処理をしてから捨て糊に入ります。このひと手間を飛ばすと、上に何を重ねても下から剥がれます。

【パテ処理】水性リフォームパテWで平滑にする

隙間や凹部を「水性リフォームパテW」で埋め、下地を平滑にします。完全に乾燥・硬化させてから次へ進みます。硬化前に貼ると、パテが痩せて継ぎ目や凹みが表面に透けてきます。パテの下塗り・上塗りの基本は石膏ボードの記事でも解説しています。

▶ 関連記事:石膏ボード下地への壁紙施工(パテ処理の基本)

【壁紙貼り】RINOの塗布量とジョイント処理

壁紙施工用接着剤「RINO(リノ)」を原液のまま糊付機で壁紙裏面に均一に塗布します。塗布量の目安は120〜150g/㎡。糊付けした壁紙は養生袋(カンガルー等)に入れ、適したオープンタイムを取ってから貼り合わせます。オープンタイムを取らずに貼ると、乾燥後の収縮で継ぎ目が開きます

ジョイントの重ね切りでは、下地(既存壁紙)を切らないよう下敷きテープ(FUJIKO・MOMOKO等)を使います。入隅・出隅などの剥がれやすい箇所は、「ジョイントコークA」を内コークで注入して壁紙を納めます。

用途商品商品番号荷姿施工㎡数の目安
捨て糊プラゾールSS220-2223.5kg(×4)約28㎡/3.5kg
パテ水性リフォームパテW273-7223.5kg(×4)
壁紙糊RINO(リノ)218-5026kg×3約100㎡/6kg×3

💡 現場メモ

重ね貼りは「剥がさず安く済む」と思われがちですが、密着試験を飛ばして失敗すると、結局はがして貼り直す二度手間でかえって高くつきます。怪しい下地は、最初から剥がして貼る判断も現場では普通にあります。

【最終確認】施工時の注意事項チェックリスト

要領書記載の注意事項を、現場で使えるチェックリストに組み直しました。

  • 既存壁紙の浮き・剥がれは補強し、汚れ・油分を除去したか
  • 内装制限(防火壁装工事)のかかる現場ではないか
  • フィルムコーティング壁紙はサンディング処理をしたか
  • プラゾールSSの試験塗布→クラフトテープで密着を確認したか
  • 室温は5℃以上か
  • はみ出したパテ・糊はすぐ清水で拭き取ったか
  • 通気性の少ない壁紙は膨れに注意したか(必要なら試験施工)
  • 施工後1週間は急激な空調を避け、自然換気するよう施主に伝えたか

壁紙は「何の下地に貼るか」で貼り方が変わります。下地・既存仕上げ・特殊壁紙ごとの施工方法は、▶ 下地別・壁紙施工方法の早見表にまとめています。迷ったときの確認にどうぞ。

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出典・参考資料

本記事は、ヤヨイ化学工業株式会社が公開している施工要領書「既存ビニル壁紙面への重ね貼り(捨て糊工法)」をもとに、現場での補足を加えて解説したものです。原本は同社公式サイトの施工要領書(PDF)で閲覧できます。

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この記事を書いた人

インテリア商社・マネージャー。現場に関わり続け、実務目線でツールの仕様監修を担当。「現場で本当に使えるか」を判断基準にしています。

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