防塵壁紙の施工|クリーンルーム・工場で発塵を抑える貼り方の正解

防塵壁紙の施工方法
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防塵壁紙(クリーンルーム用壁紙)は、半導体工場や食品工場、病院・クリニックの手術室や調剤室など、ホコリや菌の発生を抑えたい空間で使う特殊壁紙です。普通のビニルクロスと同じ感覚で貼ると、継ぎ目が発塵源になって肝心の防塵性能が出ません。施工そのものが性能を左右する材料です。

この記事は、メーカー公式の施工要領書をベースに現場目線で解説します。接着剤の選び方から塗布量、継ぎ目の防塵テープ処理まで、工場・医療施設の案件で押さえておきたい手順を工程順にまとめました。

■ 施工の全体フロー
  1. 事前チェック
  2. 養生
  3. パテ処理
  4. 壁紙貼り
  5. ジョイント保護
目次

【事前確認】施工前のチェック ─ 下地の固定と下地処理

まず下地に動きがないかを確認します。ボードの浮きやビスの緩みがあると、後から継ぎ目が開きます。防塵壁紙ではこの開いた継ぎ目がそのまま発塵源・ホコリの溜まり場になるので、普通のクロス以上にシビアに見ます。浮き・緩みは固定してから先へ進めます。

あわせて、下地に応じた下地処理(シーラー等)を行います。吸い込みの強い下地やアクの出る下地をそのまま貼ると、接着不良や変色につながります。下地の種類ごとに適切なシーラーを選んでおきます。

💡 現場メモ

クリーンルーム案件は引き渡し後にパーティクルカウンターで数値を取られることが多く、「貼ってあるのに発塵する」と一発でやり直しになります。下地の固定と継ぎ目処理は、普通の内装より一段気を遣う場所です。

【養生】粉塵と糊汚れを持ち込まない

床、枠廻り、設備などに、パテや接着剤が付かないよう養生します。クリーンルームや医療施設は仕上げ面の清浄度が命なので、糊やパテのはみ出しは乾く前に処理できる段取りにしておきます。養生を省くと、付着した糊が乾いてシミになり、清浄度を求められる空間で逆に汚れを残すことになります。

【パテ処理】下地を平滑に、完全硬化させてから貼る

下地の目地・段差・凹部をパテで埋め、面全体を平滑にします。仕上げの防塵壁紙は表面の凹凸を拾いやすく、段差が残ると継ぎ目の密着が甘くなります。そして完全に乾燥・硬化させてから貼ること。硬化前に貼るとパテが痩せて継ぎ目が透け、そこが発塵やホコリ溜まりの起点になります。

パテの下塗り・上塗りの基本は、同じシリーズの石膏ボード下地の記事で詳しく解説しています。▶ 関連記事:石膏ボード下地への壁紙施工(パテ処理の基本)

【壁紙貼り】接着剤ダイレクトUPの塗布量とオープンタイム

防塵壁紙には特殊壁紙用接着剤「ダイレクトUP」を使います。希釈せず原液のまま糊付機で壁紙裏面に均一に塗布します。塗布量の目安は120〜150g/㎡。普通のクロス糊の感覚で薄めると、接着力が足りず剥がれや浮きの原因になります。

商品商品番号荷姿施工㎡数の目安
ダイレクトUP218-30118kg約100㎡/18kg(JIS・F☆☆☆☆)

糊付けした壁紙は養生袋(カンガルー等)に入れ、壁紙に合ったオープンタイムを取ってから貼り合わせます。オープンタイムとは糊を塗ってから貼るまでの待ち時間のこと。これを取らずに貼ると、乾燥後の収縮で継ぎ目が開きます。防塵壁紙では継ぎ目の開きが直接性能低下につながるので、特に省けない工程です。

【ジョイント保護】継ぎ目を防塵テープで塞ぐ

防塵壁紙のジョイント部は、防塵テープで保護します。突き付けで貼った継ぎ目はわずかな隙間でもホコリや菌の巻き込み口になるため、テープで覆って発塵とホコリの侵入を抑えるのが、この壁紙ならではの仕上げです。ここを省くと、せっかくの防塵壁紙でも継ぎ目から発塵してしまい、性能検査で引っかかります。

防塵壁紙のジョイント処理イメージ。突き付けで貼った継ぎ目を防塵テープで覆い、発塵とホコリの巻き込みを抑える断面図
図1:防塵壁紙のジョイント処理イメージ(突き付けの継ぎ目を防塵テープで保護する)

貼る前に確認したい注意点

壁紙の種類や下地によっては接着しにくい場合があります。本施工の前に、壁紙見本帳に記載された施工方法・注意事項を必ず確認し、試験施工をしてから本貼りに入ってください。製品ごとに使用方法が違うため、思い込みで進めないのが安全です。

【最終確認】施工時の注意事項チェックリスト

要領書記載の注意事項を、現場で使えるチェックリストに組み直しました。

  • 下地に動きはないか(浮き・ビスの緩みは固定したか)
  • 下地に応じた下地処理(シーラー等)を済ませたか
  • 下地に湿気は残っていないか(あれば十分に乾燥させる)
  • 下地の汚れ・油分は落としたか
  • 室温は5℃以上か
  • 壁紙見本帳の施工方法・注意事項を確認し、試験施工をしたか
  • 施工後1週間は急激な空調を避け、自然換気するよう施主・管理者に伝えたか

壁紙は「何の下地に貼るか」で貼り方が変わります。下地・既存仕上げ・特殊壁紙ごとの施工方法は、▶ 下地別・壁紙施工方法の早見表にまとめています。迷ったときの確認にどうぞ。

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出典・参考資料

本記事は、ヤヨイ化学工業株式会社が公開している施工要領書「防塵壁紙(クリーンルーム用壁紙)の施工」をもとに、現場での補足を加えて解説したものです。原本は同社公式サイトの施工要領書(PDF)で閲覧できます。

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この記事を書いた人

インテリア商社・マネージャー。現場に関わり続け、実務目線でツールの仕様監修を担当。「現場で本当に使えるか」を判断基準にしています。

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