石膏ボード下地への壁紙施工|パテ処理から貼り付けまでの正解

石膏ボード下地への施工方法
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新築の軸組工法・枠組壁工法でいちばん多い下地が石膏ボードです。施工件数が多いぶん「いつもの流れ」で進めてしまいがちですが、接着剤メーカーは下地ごとに公式の施工要領書を出していて、パテの選定から糊の塗布量まで明確な基準が決められています。

この記事は、メーカー公式の施工要領書をベースに現場目線で解説します。要領書の存在を現場で知らない方は意外と多いので、公式の中身に現場での補足を足しながら、工程順にまとめました。

■ 施工の全体フロー
  1. 事前チェック
  2. 養生
  3. パテ処理
  4. 壁紙貼り
  5. 仕上げ確認
目次

【事前確認】施工前のチェック ─ ここを飛ばすとクレームの元

下地の固定状態

下地に動きがあると、後からジョイントの開きやクラックが必ず出ます。ボードの浮き・効いていないビスは増し締め・固定をしてから次へ。貼ってからでは直せません。

切断部分の面取り

カッターで切ったボード断面は紙がめくれ、角が立っています。そのまま貼ると壁紙表面に段差が透けるので、面取りをしておきます。ここを飛ばすと、仕上げ後に線状の不陸が浮きます。

💡 現場メモ

面取りのひと手間を嫌がる人は多いですが、LED照明の現場が増えた今、昔より段差が目立ちます。クレームの大半は「光が当たって初めて見える不陸」です。

【養生】パテと糊から造作材を守る

床、枠廻り、柱、巾木、見切り材などに、パテや接着剤が付かないよう養生します。特に無垢材や塗装仕上げの枠は、糊が乾いてからでは拭き取れずシミになります。マスカーとマスキングテープで先に押さえるのが、結局いちばん早いです。養生を省くと、後始末の手間とシミ補修で逆に時間を食います。

【パテ処理】下塗り→上塗りの2段構えが基本

石膏ボード下地のパテ処理は、下塗り用パテと上塗り用パテの2工程が基本です。1回で済ませようとするのが、痩せ・段差の最大の原因になります。

石膏ボードのジョイント部のパテ処理。下塗りでV溝を埋め、上塗りで面を平滑にする断面イメージ
図1:ジョイント部のパテ処理イメージ(下塗りで溝を埋め、上塗りで面を作る)

下塗り(目地・ビス頭・V溝を埋める)

下塗り用パテでV溝や段差を埋めます。要領書では下塗りに「プロジェクトU」が指定されています。硬化時間60分と120分の2タイプがあり、現場の広さと段取りで選びます。

商品硬化時間使いどころ
プロジェクトU(60)約60分小規模・即日上塗りしたい現場
プロジェクトU(120)約120分広い面積をまとめて処理する現場

ビス頭・釘頭にはビス頭専用パテ「Newビスパッチ」が推奨です。専用品を使う理由はサビ止め効果と痩せにくさ。通常パテで埋めると、数ヶ月後にビス頭だけポツポツ浮いて見える──あの現象を防げます。

上塗り(面を平滑にする)

上塗り用パテ(要領書では「プロジェクト輝」)で下地全体を平滑に仕上げます。

完全硬化を待つ

省略されがちですが、完全硬化前に貼るとパテが痩せてジョイントや目地が透けます。「表面が乾いた」と「硬化した」は別物です。

クラック対策の注意点

ドア枠廻りなど振動でクラックが出やすい箇所は、「目地ガード」や「耐振パテ60」の併用が要領書でも推奨されています。引き渡し後の補修呼び出しが減るので、コストをかける価値があります。

【壁紙貼り】糊の希釈とオープンタイムが品質を決める

糊の準備

壁紙施工用接着剤(要領書では「ルーアマイルド」)を規定量の水で希釈し、糊付機で壁紙裏面に均一に塗布します。塗布量の目安は135g/㎡糊が薄いと剥がれ・浮き、濃すぎると糊残りや乾燥不良につながります。

オープンタイムを取る

糊付けした壁紙は養生袋に入れ、壁紙に合ったオープンタイムを取ってから貼り付けます。オープンタイムとは、糊を塗ってから貼るまでの待ち時間のこと。糊の水分を壁紙になじませ、伸びを安定させる工程です。これを取らずに貼ると、乾燥後の収縮でジョイントが開きます

ジョイント処理

ジョイントの重ね切りでは、下地を切らないよう下敷きテープを使用します。石膏ボードまで刃が入ると、その傷が起点になってジョイントが開きます。

コーナーの剥がれ防止

入隅・出隅などの剥がれやすい箇所には、ジョイントコークでの内コークが推奨されています。ここを省くと、乾燥後に角から口が開いて目立ちます。

【最終確認】施工時の注意事項チェックリスト

要領書記載の注意事項を、現場で使えるチェックリストに組み直しました。

  • 下地に湿気はないか(あれば十分に乾燥させる)
  • 下地表面の汚れは落としたか
  • 室温は5℃以上か(冬場の空き家現場は要注意)
  • はみ出したパテ・糊はすぐ清水で拭き取ったか
  • 初めて扱う壁紙は試験施工をしたか
  • 高湿度環境・伸縮の大きい壁紙では糊への補強剤添加を検討したか
  • 施主に「施工後1週間は急激な空調を避け自然換気」を伝えたか

壁紙は「何の下地に貼るか」で貼り方が変わります。下地・既存仕上げ・特殊壁紙ごとの施工方法は、▶ 下地別・壁紙施工方法の早見表にまとめています。迷ったときの確認にどうぞ。

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出典・参考資料

本記事は、ヤヨイ化学工業株式会社が公開している施工要領書「石膏ボード下地(軸組工法・枠組壁工法)への施工」をもとに、現場での補足を加えて解説したものです。原本は同社公式サイトの「施工方法を知る > 壁紙施工要領書」からPDFで閲覧できます。

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この記事を書いた人

インテリア商社・マネージャー。現場に関わり続け、実務目線でツールの仕様監修を担当。「現場で本当に使えるか」を判断基準にしています。

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