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新築の軸組工法・枠組壁工法でいちばん多い下地が石膏ボードです。施工件数が多いぶん「いつもの流れ」で進めてしまいがちですが、接着剤メーカーは下地ごとに公式の施工要領書を出していて、パテの選定から糊の塗布量まで明確な基準が決められています。
この記事は、メーカー公式の施工要領書をベースに現場目線で解説します。要領書の存在を現場で知らない方は意外と多いので、公式の中身に現場での補足を足しながら、工程順にまとめました。
- 事前チェック
- 養生
- パテ処理
- 壁紙貼り
- 仕上げ確認
【事前確認】施工前のチェック ─ ここを飛ばすとクレームの元
下地の固定状態
下地に動きがあると、後からジョイントの開きやクラックが必ず出ます。ボードの浮き・効いていないビスは増し締め・固定をしてから次へ。貼ってからでは直せません。
切断部分の面取り
カッターで切ったボード断面は紙がめくれ、角が立っています。そのまま貼ると壁紙表面に段差が透けるので、面取りをしておきます。ここを飛ばすと、仕上げ後に線状の不陸が浮きます。
💡 現場メモ
面取りのひと手間を嫌がる人は多いですが、LED照明の現場が増えた今、昔より段差が目立ちます。クレームの大半は「光が当たって初めて見える不陸」です。
【養生】パテと糊から造作材を守る
床、枠廻り、柱、巾木、見切り材などに、パテや接着剤が付かないよう養生します。特に無垢材や塗装仕上げの枠は、糊が乾いてからでは拭き取れずシミになります。マスカーとマスキングテープで先に押さえるのが、結局いちばん早いです。養生を省くと、後始末の手間とシミ補修で逆に時間を食います。
【パテ処理】下塗り→上塗りの2段構えが基本
石膏ボード下地のパテ処理は、下塗り用パテと上塗り用パテの2工程が基本です。1回で済ませようとするのが、痩せ・段差の最大の原因になります。

下塗り(目地・ビス頭・V溝を埋める)
下塗り用パテでV溝や段差を埋めます。要領書では下塗りに「プロジェクトU」が指定されています。硬化時間60分と120分の2タイプがあり、現場の広さと段取りで選びます。
| 商品 | 硬化時間 | 使いどころ |
|---|---|---|
| プロジェクトU(60) | 約60分 | 小規模・即日上塗りしたい現場 |
| プロジェクトU(120) | 約120分 | 広い面積をまとめて処理する現場 |
ビス頭・釘頭にはビス頭専用パテ「Newビスパッチ」が推奨です。専用品を使う理由はサビ止め効果と痩せにくさ。通常パテで埋めると、数ヶ月後にビス頭だけポツポツ浮いて見える──あの現象を防げます。
上塗り(面を平滑にする)
上塗り用パテ(要領書では「プロジェクト輝」)で下地全体を平滑に仕上げます。
完全硬化を待つ
省略されがちですが、完全硬化前に貼るとパテが痩せてジョイントや目地が透けます。「表面が乾いた」と「硬化した」は別物です。
クラック対策の注意点
ドア枠廻りなど振動でクラックが出やすい箇所は、「目地ガード」や「耐振パテ60」の併用が要領書でも推奨されています。引き渡し後の補修呼び出しが減るので、コストをかける価値があります。
【壁紙貼り】糊の希釈とオープンタイムが品質を決める
糊の準備
壁紙施工用接着剤(要領書では「ルーアマイルド」)を規定量の水で希釈し、糊付機で壁紙裏面に均一に塗布します。塗布量の目安は135g/㎡。糊が薄いと剥がれ・浮き、濃すぎると糊残りや乾燥不良につながります。
オープンタイムを取る
糊付けした壁紙は養生袋に入れ、壁紙に合ったオープンタイムを取ってから貼り付けます。オープンタイムとは、糊を塗ってから貼るまでの待ち時間のこと。糊の水分を壁紙になじませ、伸びを安定させる工程です。これを取らずに貼ると、乾燥後の収縮でジョイントが開きます。
ジョイント処理
ジョイントの重ね切りでは、下地を切らないよう下敷きテープを使用します。石膏ボードまで刃が入ると、その傷が起点になってジョイントが開きます。
コーナーの剥がれ防止
入隅・出隅などの剥がれやすい箇所には、ジョイントコークでの内コークが推奨されています。ここを省くと、乾燥後に角から口が開いて目立ちます。
【最終確認】施工時の注意事項チェックリスト
要領書記載の注意事項を、現場で使えるチェックリストに組み直しました。
- 下地に湿気はないか(あれば十分に乾燥させる)
- 下地表面の汚れは落としたか
- 室温は5℃以上か(冬場の空き家現場は要注意)
- はみ出したパテ・糊はすぐ清水で拭き取ったか
- 初めて扱う壁紙は試験施工をしたか
- 高湿度環境・伸縮の大きい壁紙では糊への補強剤添加を検討したか
- 施主に「施工後1週間は急激な空調を避け自然換気」を伝えたか
壁紙は「何の下地に貼るか」で貼り方が変わります。下地・既存仕上げ・特殊壁紙ごとの施工方法は、▶ 下地別・壁紙施工方法の早見表にまとめています。迷ったときの確認にどうぞ。
出典・参考資料
本記事は、ヤヨイ化学工業株式会社が公開している施工要領書「石膏ボード下地(軸組工法・枠組壁工法)への施工」をもとに、現場での補足を加えて解説したものです。原本は同社公式サイトの「施工方法を知る > 壁紙施工要領書」からPDFで閲覧できます。
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