クロス屋に仕事がない時どうする?原因の切り分けと受注先の増やし方

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クロス屋で「今月、仕事がない」という状態になったとき、まずやるべきは原因の切り分けです。同じ受注ゼロでも、毎年来る季節の谷なのか、元請1社に依存している構造の問題なのか、単価や条件で外されているのかで、打つ手がまったく変わります。私はクロスや床材を扱う内装材商社の営業として、多くの工事店・職人さんと日常的に取引していますが、繁忙と閑散の波は業界全体に共通して来ています。この記事では、職人本人ではなく材料を卸す側から見えている受注の波と商流の構造を整理して、原因別の対処と、閑散期を乗り切る資金繰りの考え方まで書きます。

目次

まず「季節の谷」か「構造の問題」かを切り分ける

焦って営業に走る前に、去年の同じ時期を思い出してください。去年も同じ月に暇だったなら、それは季節の谷です。毎年来るものに対して慌てても意味がありませんし、逆に去年は忙しかったのに今年は止まっているなら、季節ではなく別の原因を疑う必要があります。

クロス屋に仕事がない原因を3つに切り分けた図。①季節の谷は毎年来るので資金繰りの設計で備える②元請1社への依存は材料屋やメーカー経由の紹介で受注先を増やす③単価・条件で外されている場合は相場と断り方を見直す

①季節の谷 ── 内装の受注には毎年同じ波が来る

材料の出荷量を見ていると、内装工事の受注には毎年ほぼ同じ形の波が来ています。山になるのは年度末の2〜3月と、9月前後です。年度末は決算やテナントの入れ替え、引越しシーズンの原状回復が重なるためで、この時期は逆に人手が足りません。

谷になりやすいのは、その繁忙期が終わった直後の4〜5月と、梅雨から盛夏にかけて、それに正月明けの1月です。年度末に一気に片付いた反動で新規が動かない時期、と考えるとわかりやすいと思います。加えて新築が主戦場の人とリフォーム・原状回復が主戦場の人では谷の来る時期がずれるので、周りの職人と話が合わないこともあります。

季節の谷なら「営業」より「準備」が効く

毎年来るとわかっているものは、来る前に手を打つほうが確実です。谷の時期に合わせて材料の仕入れを絞る、繁忙期のうちに現金を残しておく、谷の月に設備投資や請求の締めを重ねない。慌てて単価を下げて仕事を取ると、繁忙期に戻ったときに安い単価が基準として残ってしまうので、そこは慎重に判断したいところです。

②元請1社への依存 ── 「仕事がない」を構造的に作る一番の原因

季節ではないのに止まっている場合、多いのがこれです。売上の大半を1社の元請から得ていると、自分の腕とは関係なく、その元請の受注量がそのまま自分の仕事量になります。元請が大きな現場を1本失っただけで、下にいる職人は一斉に暇になります。腕がいいから安泰、という話ではないところが厳しい部分です。

取引先の職人さんからも、こういう話を聞きます。

長く付き合っていた工務店が担当者ごと代わって、それまで毎月あった話がぱたっと止まった。腕を評価されていたつもりだったけど、結局は担当者との関係で仕事が来ていただけだった

逆に、閑散期でも動き続けている人は、だいたい受注先を3つ以上持っています。1社が止まっても他で埋まるので、波が平準化されるわけです。

受注先を増やす現実的な順番

「営業しろ」と言われても、職人が飛び込み営業をするのは効率が悪いです。商社の立場から見て、実際に決まりやすい順番があります。

  1. 材料屋・メーカーの営業に声をかける:これが一番見落とされています。私たちのような商社の営業は、職人を探している工務店・工事店の情報を日常的に持っています。「手が空いているので紹介できる先があれば」と一言伝えておくだけで、話が来ることは珍しくありません。材料を買っている先ならタダで、しかも相手の信用付きで紹介が回ります。
  2. 同業から手間請けをもらう:繁忙期に手が回らない同業は必ずいます。単価は元請直より落ちますが、谷を埋める手段としては即効性があります。クロスの手間請け単価の実勢レンジも参考にしてください。
  3. リフォーム会社・工務店へ直接あたる:時間はかかりますが単価は一番よくなります。飛び込みより、施工写真をまとめたものを持って行くほうが話が早いです。
  4. マッチングサービス・掲示板:即効性はありますが、単価が下がりやすく元請の質も読めません。谷を埋める最後の手段として考えるくらいがちょうどいいと思います。

③単価・条件で外されているケース

周りの職人は動いているのに自分だけ止まっている、という場合はここを疑います。単価が相場から上にずれていて声がかからなくなっているのか、あるいは断り方や納期対応で外されているのか。後者は本人が気づきにくい部分です。

実際、元請から見ると「腕はいいが急な依頼を受けてくれない」「連絡が返ってくるのが遅い」という理由で声をかける順番が下がることがあります。単価だけの話ではないので、思い当たるところがあれば、そこを直すほうが値下げより効きます。値下げは一度やると戻せません。

閑散期に本当に効くのは資金繰りの設計

ここが一番伝えたい部分です。仕事がない月がつらいのは、売上が止まっても支払いは止まらないからです。材料の仕入れ、リース、保険、税金、車の維持費。売上ゼロの月にもこれらは来ます。しかも内装工事は完工から入金まで1〜2か月かかるのが普通なので、忙しかった月の売上がまだ入金されていない状態で谷に入ると、手元の現金だけが一気に薄くなります。

順番としては、まず入金を早くできないか確認するのが一番安いです。元請に支払いサイトの短縮を相談する、請求の締めを月2回にしてもらう、といった交渉が通る先もあります。詳しくは工事代金の入金が遅いときの資金繰りの順番にまとめています。

それでも間に合わないときの手段として、売掛金を先に現金化するファクタリングがあります。具体的な使いどきは、来月の材料の支払いが、終わった現場の入金より先に来てしまうときです。谷の月にこれが重なると、仕事がないのに支払いだけが先に来る形になります。

誤解されやすい点を3つ補足しておきます。借入ではないので金融機関の融資枠とは別枠です。審査で見られるのは自分の信用ではなく売掛先(元請)の信用なので、開業間もない人でも通ることがあります。そして2社間の契約なら元請に知られずに使えます。手数料は当然かかるので常用するものではありませんが、谷の月に一度だけ使って乗り切る、という使い方なら現実的です。いま使う必要がなくても、手段として知っておくだけで判断の幅は広がります。

クロス屋の仕事がないときのよくある質問

単価を下げて仕事を取るべき?

おすすめしません。一度下げた単価は、繁忙期に戻っても基準として残ります。谷を埋めたいなら、単価を下げるより同業の手間請けで一時的に補うほうが後に残りません。

クロス屋の仕事自体が減っているのでは?

新築の着工数は減少傾向ですが、リフォーム・原状回復の需要は残ります。ただし主戦場が新築だけの人は影響を受けやすいので、リフォーム側の受注先を持っておくと波に強くなります。将来性の話はクロス屋はやめとけと言われる理由で詳しく整理しています。

材料屋に紹介を頼むのは図々しくない?

まったく問題ありません。むしろ商社側は、材料を買ってくれる職人が仕事を続けてくれることが利益になります。遠慮する理由がないところです。担当者に「今月手が空いている」と伝えておくだけで十分です。

独立したばかりで受注先がない

独立直後は前職の元請からの流れで動くことが多く、その1社が止まると一気に苦しくなります。

まとめ

  • 「仕事がない」は①季節の谷②元請1社依存③単価・条件の3つに切り分ける。去年の同時期と比べるのが最初
  • 内装の谷は4〜5月・梅雨〜盛夏・1月。毎年来るものなので営業より準備が効く
  • 受注先を増やす順番は、材料屋・メーカーへの声かけ→同業の手間請け→工務店直→マッチング
  • 値下げは戻せない。単価より断り方・納期対応で外されていないかを先に確認する
  • 谷でつらいのは売上ゼロでも支払いが来るから。入金を早める交渉が最優先で、間に合わないときの手段としてファクタリングを知っておく

受注の波は業界全体に来ているもので、腕の問題ではありません。原因を切り分けて、季節の谷なら備える、構造の問題なら受注先を増やす。材料を卸す側から見ていて、長く続いている人ほどこの切り分けが早いように思います。

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この記事を書いた人

インテリア商社・マネージャー。現場に関わり続け、実務目線でツールの仕様監修を担当。「現場で本当に使えるか」を判断基準にしています。

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