クローゼット扉の塗装DIY|剥がれない下地と折れ戸の外し方・費用

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クローゼットの扉は、塗装で見違えます。面積が大きいぶん、白や黒に塗り替えるだけで部屋の印象が丸ごと変わる、費用対効果の高いDIYです。ただし、うまくいくかどうかは2つで決まります。ひとつは扉の表面が化粧シートかどうかを見極めて、密着させる下地を作れるか。もうひとつは折れ戸・開き戸・引き戸それぞれの「擦れる場所」を厚塗りしないことです。この2つを外すと、塗った直後はきれいでも数週間で角から剥げてきます。

この記事では、内装材を扱う立場から、素材の見分け方・扉タイプ別の外し方・下地・手順・費用・賃貸での注意までまとめます。ドア全般の塗装は室内ドアの塗装DIYもあわせてどうぞ。

目次

クローゼットの扉は「塗料がのらない素材」がほとんど

まず知っておいてほしいのが、いまの住宅のクローゼット扉は木ではないということです。中身はフラッシュ(中空の骨組み)やMDFで、表面には木目をプリントした化粧シート、あるいはプリント合板が貼られています。見た目は木でも、触っている面はビニル系のシートです。ここが、ホームセンターの木部用塗料をそのまま塗ってはいけない理由です。

塗料は、表面の細かい凹凸に食い込んで固まることで密着します(投錨効果)。化粧シートの表面はツルツルで凹凸がないので、塗料がのっているだけの状態になり、爪や物が当たった場所から簡単に剥がれます。だからサンディングで足付けし、密着プライマーを入れる工程を省けないのです。個人ブログの「塗ってみた」で剥がれた報告が多いのは、ほぼこの下地不足が原因です。

扉の表面見分け方必要な下地
化粧シート(オレフィン・PVC)木目がきれいに反復している。木口(側面)を見ると木目が途切れる・巻き込まれている。築20年以内のほとんど#240前後で足付け→密着プライマー必須
プリント合板表面が硬く光沢がある。角を見ると薄い層が見える。古めの建売・アパートに多い足付け→密着プライマーかシーラー
木(無垢・練付け)木目が一枚ごとに違う。木口も木目が通っている。造作家具や古い建具足付けのみでOK。生地ならアク止めシーラー
見分けに迷ったら、扉の側面(木口)を見てください。表面と側面で木目がつながっていなければ化粧シートです。ほとんどのクローゼット扉はここに当てはまります。

扉のタイプで「外し方」と注意点が変わる

クローゼット扉が室内ドアと違うのは、可動部が多いことです。折れ戸は2枚が中央で折れ、引き戸はレールを走ります。この動く部分に塗膜が乗ると、開け閉めのたびに擦れて剥げますし、厚く乗れば単純に閉まらなくなります。ここがドア塗装の記事をそのまま真似すると失敗するところです。

そして仕上がりを左右するのが、扉を外して寝かせて塗れるかです。立てたまま塗るとどうしてもタレますが、床に寝かせれば塗料が自重で平らになり、素人でもローラー目の少ない面が作れます。外し方はタイプごとに次の通りです。

クローゼット扉の塗装をタイプ別に解説した図。折れ戸は下の軸を持ち上げて外し召し合わせと丁番の厚塗りに注意、開き戸は丁番のビスを外し戸当たり側を薄く、引き戸は持ち上げて外しレールと戸車に塗料を入れないことを示した図

いちばん多いのは折れ戸です。扉を半分に折りたたんだ状態で下の軸(ピボット)を持ち上げると、下が抜けて手前に外れます。上のレール側は最後に抜きます。無理に引っ張ると軸受けの樹脂パーツが割れるので、必ず一度持ち上げてから手前に倒してください。外した扉は取っ手や丁番を先に外しておくと、養生の手間が減って仕上がりもきれいです。

クローゼット扉を塗る手順

  1. 扉を外して寝かせる
    • 上の図のタイプ別の手順で外します。取っ手・丁番・キャッチも外して床にウエスや段ボールを敷き、その上に置きます。外せない場合は枠とレールを厚めに養生して立てたまま進めます。
  2. 清掃と脱脂
    • 手が触れる場所は皮脂が付いています。中性洗剤で拭いて完全に乾かします。ここを飛ばすと、下地をやっても部分的に密着しません。
  3. 足付け(サンディング)
    • #240前後で全面を軽く擦り、ツヤを消します。削り落とすのではなく光沢をなくすのが目的です。粉は固く絞った雑巾で拭き取ります。
  4. 密着プライマー
    • 化粧シート・プリント合板なら必須。薄く均一に1回で十分です。指定の乾燥時間(製品によりますがおおむね10〜30分)を守ります。
  5. 上塗り1回目
    • 溝や角を先に刷毛で塗り、平らな面はスモールローラーで一方向に。厚塗りせず、下地が透けても気にせず薄く伸ばします。
  6. 乾燥→軽く研ぐ→上塗り2回目
    • 完全に乾かしてから、気になるザラつきを#400程度で軽くならして2回目。この一手間で仕上がりが変わります。
  7. しっかり乾かしてから吊り込む
    • ここが最重要です。表面が乾いていても塗膜はまだ柔らかく、すぐ戻すと擦れた場所からはがれます。最低でも丸1日、できれば2〜3日置いてから建て込みます

クローゼット扉ならではの失敗ポイント

室内ドアの塗装記事にはあまり書かれていない、クローゼットだから起きる失敗があります。手順どおり塗れていても、ここで台無しになることが多いです。

  • 召し合わせ(2枚が当たる面)を厚塗りする
    • 折れ戸は閉じたときに2枚の扉が突き合わせになります。ここに塗膜が乗ると、開け閉めのたび擦れて筋状に剥げます。当たる小口は塗らないか、ごく薄く。
  • 建付けが変わって閉まらなくなる
    • 塗膜は1回で数十ミクロン程度ですが、隙間の少ない建具では効いてきます。もともと動きが渋い扉は、側面(小口)を塗らないほうが安全です。
  • レール・戸車に塗料が入る
    • 上レールの溝や下の戸車に塗料が入ると走りが重くなり、あとから取るのが大変です。外さずに塗るなら、レールはマスカーで完全に塞ぎます。
  • 丁番・軸受けを養生せず塗り込む
    • 金物に塗料が付くと動きが渋くなります。外せる金物は外す、外せないならテープで包む。これだけで見た目もプロっぽくなります。
  • 乾く前に吊り込む
    • いちばん多い失敗です。触って乾いていても、塗膜が硬化するには時間がかかります。急いで戻すと軸まわりや召し合わせから剥げます。
  • 枠(ケーシング)を塗るか決めずに始める
    • 扉だけ白くすると、枠の色が残って中途半端に見えることがあります。扉と枠をセットで塗るか、あえて枠を残してツートンにするか、先に決めておくと迷いません。

費用の目安

項目費用の目安
水性ペイント(2L前後・扉2〜4枚分)3,000〜6,000円
密着プライマー1,500〜2,500円
ローラー・刷毛・バケット1,000〜2,000円
マスキング・マスカー・サンドペーパー1,000〜2,000円
合計(クローゼット1か所・道具新調)おおむね7,000〜12,000円

塗料は面積で決まります。折れ戸4枚のクローゼットなら両面で6㎡前後、2回塗りで12㎡分。水性塗料は1Lで7〜9㎡が目安なので、2L缶があれば足ります。業者に建具塗装を頼むと1本あたり15,000〜30,000円程度が相場です。

塗装以外の選択肢と比べる

方法費用向いている人弱点
塗装1万円前後好きな色にしたい。凹凸や溝のある扉元に戻せない。乾燥待ちが長い
リメイクシート(ダイノック等)1〜2万円賃貸。木目や石目の質感がほしい平らな扉向き。溝や框があると難しい
扉だけ交換数万円〜反りや割れがある。建具ごと新しくしたい費用が跳ね上がる。枠の寸法確認が要る

クローゼット扉は溝や凹みのあるデザインが多く、シートは角の処理でつまずきがちです。逆に、まっ平らなフラット扉ならシートのほうがきれいに決まることもあります。判断材料は室内ドアの塗装のデメリットで詳しく比べています。

クローゼット扉の塗装でよくある質問

賃貸のクローゼットを塗ってもいい?

基本はNGです。塗装は元に戻せないので、退去時に建具の交換費用を請求される可能性があります。国土交通省の原状回復ガイドラインでも、借主が加えた変更を元に戻す義務は借主側にあるという考え方です。どうしても色を変えたいなら、はがせるリメイクシートか、扉を外して保管しておき別の板に替えるといった「戻せる方法」を選んでください。オーナーの許可が取れているなら塗装でも問題ありません。

プライマーなしで塗ってしまった。どうなる?

しばらくは持ちますが、爪が当たる場所や擦れる部分から剥がれてきます。剥がれた縁をサンドペーパーでならし、密着プライマーを入れてから塗り直せば直せます。全面に浮きが出ているなら、いったんスクレーパーで落としてやり直すほうが早いです。剥がれの直し方は室内ドアの塗装が剥がれた時の補修と同じ考え方です。

扉を外さずに塗れる?

塗れますが、タレやすくレール周りに塗料が入るリスクがあります。外さない場合は、レール・戸車・丁番をマスカーで完全に塞ぎ、床にも養生を広く敷いて、いつもより薄く2〜3回に分けて塗ってください。折れ戸は開いた状態で固定すると両面を塗りやすくなります。

何色が失敗しにくい?

壁と同じ白系がいちばん無難で、クローゼットの存在感が消えて部屋が広く見えます。ただし白は下地が透けやすいので必ず2回塗り。濃いグレーやブラックはかっこいい反面、ローラー目やホコリが目立つので、薄塗りを重ねる前提で挑んでください。まず扉1枚だけ塗ってみて、気に入ったら残りを塗るのも手です。

扉の内側(クローゼット側)も塗る?

閉めていれば見えないので、塗らない人も多いです。ただ、片面だけ塗ると木質系の扉は湿気の吸放出が偏って反る可能性があります。気になるなら両面塗るほうが無難です。外して寝かせるなら、片面を塗って乾かし、裏返してもう片面という手順になります。

まとめ

  • クローゼット扉はほぼ化粧シート。木口を見て見分け、足付け+密着プライマーを省かない
  • 折れ戸・開き戸・引き戸でそれぞれ外し方が違う。外して寝かせて塗ると仕上がりが段違い
  • 召し合わせ・戸当たり・レール・丁番は厚塗り厳禁。塗膜で建付けが変わる
  • 吊り込みは最低でも丸1日、できれば2〜3日待つ。急ぐと擦れた場所から剥げる
  • 費用は道具込みで1万円前後。賃貸なら塗装ではなく、はがせるシートを選ぶ

クローゼットは部屋の中で面積の大きい面のひとつです。そこの色が変わると、家具を買い替えたくらい印象が動きます。素材に合った下地と、動く部分を厚塗りしないこと。この2点さえ守れば、初めてでも十分きれいに仕上がります。同じ考え方で巾木の塗装DIYもできるので、部屋をまとめて塗り替えたい方はあわせてどうぞ。

出典・参考

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この記事を書いた人

インテリア商社・マネージャー。現場に関わり続け、実務目線でツールの仕様監修を担当。「現場で本当に使えるか」を判断基準にしています。

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